福井県が誇る海の幸は、越前ガニだけではありません。今回は、福井で古くから愛されてきた高級珍味、塩雲丹(しおうに)についてご紹介します。濃厚な旨みが凝縮されたその味わいは、まさに「海の宝石」と呼ぶにふさわしい逸品です。

遡ること江戸時代、日本三大珍味の歴史
塩雲丹の歴史は、遡ること江戸時代に始まります。当時の福井藩主であった松平治好公(まつだいら はるよし)が「戦時でも日持ちする保存食」を考案するよう命じたことがきっかけとなり、塩蔵法を用いて作られたのが「越前仕立て汐うに」の始まりと言われています。
こうして生まれた塩雲丹は、福井藩の年貢品として納められ、将軍家や他藩への贈り物としても重用されました。長崎の「からすみ」、尾張の「このわた」とともに、福井の塩雲丹は「日本三大珍味」と称され、その名を全国に轟かせました。当時はごく限られた高貴な身分の方しか口にすることができなかった、まさに幻の逸品だったのです。

希少なバフンウニと職人の技が織りなす「塩雲丹」
塩雲丹に使われるのは、ウニの中でも特に濃厚な味わいが特徴的なバフンウニの卵巣です。漁獲量が少なく、一つ一つが小さいため、非常に希少価値が高いとされています。
この希少なバフンウニの卵巣を、熟練の職人が手作業で丁寧に殻から取り出し、不純物を取り除きます。そして、塩をまぶしてじっくりと水分を抜き、旨みを凝縮させていきます。この塩蔵法によって、ウニ本来の濃厚な旨みと磯の香りが最大限に引き出されるのです。
製造過程は非常に手間と時間がかかります。一般的には、塩漬けの後にさらに熟成させる期間が必要で、その期間は製品によって異なりますが、長いものでは1年〜3年にも及ぶことがあるそうです。この気の遠くなるような手作業と熟成期間を経て、ようやく皆さんの食卓に届くのです。

驚くほどの凝縮感!塩雲丹の賞味期限と美味しい食べ方
塩雲丹は、塩漬けにすることで水分が抜かれ、旨みが凝縮されているため、日持ちが良いのが特徴です。一般的に、冷凍保存で約1年、解凍後も冷蔵で30日ほど持つ商品が多いようです。
その濃厚な味わいは、熱々のご飯に少し乗せるだけで、口いっぱいに磯の香りが広がり、至福のひとときを味わえます。他にも、お茶漬けの具材として、または日本酒のおつまみとしても相性抜群です。パスタやピザの隠し味に使うと、普段の料理が贅沢な一品に変わります。

いかがでしたでしょうか? 福井が誇る高級珍味「塩雲丹」の奥深い魅力と、その歴史について知っていただけたかと思います。
越前水産が運営している福井の老舗「田村屋」の塩雲丹は、手間暇かけて作られた、まさに伝統の逸品です。熱々のご飯と、またはお酒と共に、濃厚な旨みと磯の香りをお楽しみください。ぜひ一度、お取り寄せしてみてはいかがでしょうか。
