はじめに
皆さんは「半夏生(はんげしょう)」という言葉をご存じでしょうか?
日本の古くからの暦のひとつであり、農作業や生活の節目とされてきた特別な日(期間)です。地域によってさまざまな風習や行事が残っていますが、なかでも福井県では「半夏生に鯖(さば)を食べる」という独自の文化が根付いています。
今回は、半夏生とは何か、全国的な風習、そして福井県の鯖を食べる習慣の背景や意味について詳しくご紹介します。
半夏生とは?
半夏生は、二十四節気の「夏至」から数えて11日目にあたる日、またその日から5日間のことを言います。今年の半夏生は 7月 1日~ 7月 5日の5日間です。夏至の日が固定ではないため、半夏生の日(期間)も変わります。
この頃は梅雨の終わりと重なることが多く、田植えが一段落し、農作業にも一区切りがつくタイミングとされてきました。
また、暦の上では雑節と呼ばれるもののひとつに数えられ、日本では古くから農業と密接に関わる重要な日と考えられてきました。
半夏生の頃になると、空模様が不安定になりやすいため、田植えが遅れると作物の生育に悪影響が出るともいわれ、「半夏生までに田植えを終わらせる」というのが農家の間での目標だったのです。
全国各地の半夏生の風習
日本各地では、半夏生の時期に「労をねぎらう」「健康を祈る」「豊作を願う」などの意味合いを込めたさまざまな風習が残っています。代表的なものをいくつかご紹介しましょう。
1. 関西地方:タコを食べる
関西地方では、タコを食べる風習があります。
タコの足の吸盤がしっかりと大地に吸い付く姿から、「苗がしっかりと根付くように」という願いを込めて田植え後にタコを食べるのです。
2. 香川県:うどんを食べる
香川県では「半夏生うどん」を食べる風習があります。
「農作業を労い豊作を願う」という意味があり、新麦で作ったうどんを食べるのが定番になっています。
3. 福島県など:餅を食べる
福島県など東北地方の一部では餅を食べる風習があります。
これは、半夏生が田の神様を迎える日とされ、豊作を祈る神事として餅を供えたり、食べたりするのが由来です。
福井県の風習:半夏生に鯖を食べる
そして、福井県特有ともいえる風習が半夏生の日に一匹丸ごと焼いた鯖を食べるというもの。全国的にもあまり知られていないこの風習には、歴史と地域性が色濃く反映されています。
歴史的背景
福井県(大野市を中心とした地域)では、田植えなどの農作業がひと段落する半夏生の頃、夏バテ防止策として鯖を食べることを推奨しました(または配ったことから始まったとされています)。内陸部の農村地域では海の魚は簡単には手に入りませんが、海沿いに飛び地(現在の越前町の一部)を持っていたことから鯖を入手でき、買ったり配ったりすることができたということです。
鯖街道は奈良時代からありましたが、江戸時代の頃から若狭湾沿岸(現在の小浜など)で獲れた鯖を福井市周辺や内陸部まで運ぶため、鯖街道が発達していきました。塩で締めた鯖を一晩かけて歩いて運ぶことで、内陸の人々も海産物を味わうことができたのです。
今でも福井県のスーパーや市場では半夏生の頃になると「半夏生鯖(はげっしょさば)」「半夏生用鯖」という表示で鯖が売られ、各家庭で焼き鯖や鯖寿司として楽しまれています。
風習の意味と現代への継承
この風習には、田植えの労をねぎらうとともに、夏場の体力回復という意味合いも込められています。鯖は良質なたんぱく質と脂質を含み、疲労回復に役立つ栄養素が豊富。昔の人々は理屈ではなく、体験的に鯖のパワーを知っていたのでしょう。
現代の福井県でもこの風習は続いており、学校給食に「半夏生さば」が出されることもあるほど。地域文化として子どもたちにも自然に伝わっているのです。
福井県ならではの味わい方
福井県で半夏生の頃に食べる鯖にはさまざまな食べ方があります。代表的なものをいくつかご紹介します。
1. 焼き鯖
もっともポピュラーな食べ方が焼き鯖。
脂ののった鯖を香ばしく焼き、温かいご飯と一緒にいただくのが王道です。おろしポン酢や生姜醤油を添えて食べるのもおすすめです。
2. 鯖寿司(焼き鯖寿司)
福井の鯖寿司は押し寿司タイプが主流。
しっかり締めた鯖を酢飯に乗せて押し固めた寿司は、田植え作業後のごちそうとしても定番です。お祝いの席にもぴったりで、今でもこの時期には多くのお店で販売されています。
3. 鯖の煮付け
家庭の味として愛されているのが鯖の煮付け。
甘辛く煮た鯖は冷めても美味しく、お弁当や晩ご飯のおかずに重宝します。
まとめ
「半夏生」という日本の伝統行事には、農業の節目や自然との調和といった深い意味が込められています。
全国にはさまざまな風習がありますが、福井県の「半夏生に鯖を食べる」文化は、歴史的な背景と地域性が色濃く映し出されたとても興味深いものです。
現代では農作業の風景も変わりつつありますが、こうした土地の食文化や伝統を知り、季節の節目に意識を向けることで、私たちの暮らしにも豊かなリズムが生まれるのではないでしょうか。
今年の半夏生には、ぜひ福井の風習にならって鯖料理を味わってみてはいかがでしょうか?
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